給湯器の転倒防止対策について

2016年に起こった一連の熊本地震では、給湯器の貯湯タンクが転倒する被害が相次ぎました。
原因が天災ですから仕方がなかったのでしょうか?地震をきっかけに浮かび上がった問題と、給湯器設備の転倒防止について紹介しましょう。

■設備工事と耐震対策

2011年に起こった未曾有の大震災を受けて、国では“耐震”について見直しを行い、建築や、設置物のルールを改正しました。
2013年には、国土交通省から、「建築設備の構造耐力上安全な構造方法を定める件の一部を改正する告示」が公布され、電気温水器を設置する際に耐震施工が義務化されました。
給湯器の中でも、大きなタンクをもつ電気温水器は、地震で転倒する事例がたくさんでましたから、しっかりしたルールづくりがされるのは当たりと言って良いでしょう。
ところが、熊本地震では耐震施行の基準をクリアしていない貯湯タンクの転倒が相次いだのです。
タンクが破損するだけでなく、隣の家の車に倒れ込むなど、設置方法の甘さから、あたりに被害を広げる事例も出ました。

■貯湯タンクの危険性

ガス給湯器の場合には、火の元が問題になりますが、振動でガスが止まる安全装置が働きますし、機器が転倒しても被害は目立ちませんでした。
むしろ、火が出る心配がないと考えられていた電気温水器が倒れることが問題になるとは思っても見ないことでした。
耐震施工が義務付けられたはずでしたが、転倒した貯湯タンクの半数が設置5年未満(大震災後ということ)、全体の2割が改正告知のあった2013年以降の設置でした。
電気温水器の貯湯タンクは大型ですし、なかにお湯をためていますから、地震による振動の影響を受けやすく、基礎にボルトでアンカー止めすることが義務付けられています。
ところが、改正告知があったにも関わらず…
・メーカー推奨のボルトサイズを守っていない。
・アンカーボルトに耐えられない厚みの足りない基礎にボルトを打ち込んでいる。
・ブロックに載せただけで、アンカー止めされていなかった。
工事が不十分だったため、転倒したケースがありました。

■信頼できる施工業者を選びましょう

“義務化”されているにも関わらず、安全性よりも、目先の儲けや低価格化を優先する業者は、キケンです。
「設置スペースがない、ボルト止めできる基礎がないなら、ガス給湯器にしたほうが良い」あるいは、「貯湯タンクを設置するなら、基礎工事をして耐震施工したほうが良い」と勧めてくれる、価格の安さだけでなく、アドバイスをくれる業者が、信用でいるのではないでしょうか。
プロとして、安全性のためゆずれないところは曖昧にしない業者を選びたいですね。

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